写真・図版
退職記念最終講義で教え子たちに語り書ける小樽商大の近藤公彦教授=小樽市

 マーケティングや起業の面白さを学生たちに伝え、テレビのコメンテーターとしても活躍した小樽商科大学の近藤公彦教授(63)が1日、同大で退職記念最終講義をした。

 近藤教授は京都出身。「私は同志社大『軽音楽部』卒業。プロでは芽が出ないと感じ、マーケティングの研究者を志した」と軽妙な話術で講義は始まった。神戸大大学院などを経て、1997年に小樽商大へ。8年間、副学長も務めた。

 肝に銘じ続けたのは「教員はエンターテイナーである」。米国留学時代に学んだという。最前線で活躍するビジネスパーソンを講義に呼んだり、ゼミ旅行で学生を海外に連れ出したりした。

 学内に学生が社長を務める株式会社を設立した。札幌の狸小路商店街の複数の店舗で飲食できる共通チケットを企画・販売。学生たちを刺激し続けた。

 「学生はこういうところで引っかかるんだと気づかされたり、こんな発想をするんだと驚いたり。お互いに学び合えたことが貴重だった」と教え子に感謝の思いを伝えた。

 この日の講義には在校生に加え、道内や沖縄や関東、関西などから教え子ら約100人が駆けつけた。講義後、近藤教授は「世の中には面白いことがたくさんある。アンテナを張り巡らして、新しいことを見つけられれば、その方が人生は楽しい。僕の姿を見てそう感じてくれたら」と語った。

 近藤教授は4月からは北海道武蔵女子大で教壇に立ち、早稲田大でも非常勤講師として講座を持つ。

共有